COVID-19対策の1つとして、「すべての人が1日15~25μg(600~1,000国際単位)のビタミンDを摂取するのが合理的である」とUpToDate(エビデンスに基づいた臨床意思決定支援リソース)には記載されています。

COVID-19パンデミックがだんだん収束することに伴い、マスクの着用率が低下していきました。2024年6月に初めて49.9%と5 割を切り、マスク生活が終わり始めるとともに、マイコプラズマ感染症、プール熱、溶連菌感染症、RSウイルス、リンゴ病などの各種感染症が一斉に流行しました。

2024年暮れには、インフルエンザAが大流行しました。一般的なウイルス感染症や呼吸器感染症には、血清ビタミンD値の季節変動(冬は日照不足のため低値となる)による顕著な季節変動があるという仮説があります。

ビタミンD補充の感染症に対する予防効果は、冬には有効でも、夏には日光に当たれば自前でビタミンDを作れるので、外からの補充の効果が薄くなることも想定され、季節によっても有効性が異なる可能性があります。

5.長期COVIDの発症リスク

COVID-19の後遺症として大きな問題となっている長期 COVID発症者群は、COVID-19には罹患(りかん)して長期COVIDを発症しなかった群に比べて血清25(OH)ビタミンDレベルが低いことが示されています。血清ビタミンDが欠乏していると、長期COVIDを発症しやすくなります(di Filippoら、2023)。

6.がんの発症リスク

血清ビタミンD[25(OH)Dレベル]が、12ng/mL未満の群(ビタミン欠乏群)は、20~25ng/mL未満の群に比較して、大腸がんのリスクは、1.31と高くなります。閉経後の女性では、血清ビタミンDが低くなると乳がんのリスクは上昇しました(逆相関しました)。

国立がん研究センターのJPHC研究では、血清ビタミンD値を男女別に4等分位に分け、がん発症との関連を調べました。血清ビタミンD値が最も低いグループを基準としたところ、ビタミン D濃度がそれより高い3つの群では、がん罹患のリスクが低下していました(ハザード比、0.75~0.81)。

大腸がん、乳がん、膵臓(すいぞうがん)などは、現在でも患者数が増えていますが、根底に血清ビタミンD値が低いことと関連があると考えられます。

ビタミンDには、腸内細菌の構成を変化させ、それが免疫系を刺激してがん細胞を攻撃する可能性があることが示唆されています。特に、腸内の特定の細菌がT細胞を活性化し、がん細胞に対する攻撃を強化するメカニズムが考えられています。

次回更新は4月10日(金)、11時の予定です。

 

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