【前回記事を読む】特殊加工が施された「タワマンの窓」の悪影響…日差しは入るが、「自然の光」を浴びることはできていない…?
自然とつながる健康アイテム
その2 ビタミンD
日光から生まれる「ビタミンD」は骨を丈夫にしたりがんや感染症から身を守る現代人必須の栄養素です
前章でお伝えしたように、日光とのつながりは健康に大きな恩恵を与えてくれますが、日光と関連が深い項目として、ビタミンDが挙げられます。ビタミンDは、日光を浴びることによって体内で生成される非常に重要な栄養素で、骨の成長と維持に関与し、骨を丈夫にする脂溶性ビタミンとして知られています。
それ以外にも、免疫系に対する作用、がんの発症リスクを低下させる作用、心血管疾患のリスクを低下させる作用、自己免疫疾患のリスクを低下させる作用、うつ病のリスクを低下させる作用、筋骨格系の健康と機能を維持する作用、などの多彩な働きをしてくれます。ビタミンDは単なるビタミンではなく、ホルモンとしての特性を持つことが広く認識されています。
食品中のビタミンDを強化している国では、COVID-19発症率や死亡率が低い
COVID-19の発生当初から、ビタミンDの体内における産生、または摂取がCOVID-19対策の1つとなる可能性が示唆されていました。フィンランドやノルウェーなどの北欧諸国は、高緯度にあるため日光が弱く、ビタミンDの強化が必須で、ビタミンDの摂取量が多いことが知られています。
例えばフィンランドは、2003年からビタミンD強化プログラムを実施し、乳製品におけるビタミンD強化を義務づけました。この結果、ビタミンDの摂取量は大幅に増加し、全人口が十分なビタミンDを摂取している状態となりました。
このため、欧州の中で最も高い血清ビタミンD値を示しています。北欧諸国ではCOVID-19発症率や死亡率が低いことが、2020年の段階で示されました。
ビタミンD欠乏は、COVID-19感染のリスクと重症度と死亡率を高める
ペトレリらは、ビタミンDがCOVID-19の結果に及ぼす影響に関する43件の論文をレビューしました(2021年)。その結果、ビタミンD欠乏がCOVID-19感染のリスクと重症度および死亡率を高める(オッズ比、それぞれ 2.6、1.22)ことが確認されました。
ビタミンDの体内における合成経路
ビタミンDの体内における合成は、①皮膚における合成、②肝臓における変換(25-ヒドロキシビタミンD〈25(OH)D〉に代謝)、③腎臓における活性化(1,25-ジヒドロキシビタミンD3に代謝)、の3つのステップを経て行われます。
最初の重要なステップであるコレステロール(7-デヒドロコレステロール)からプレビタミンD3への合成は、紫外線(UVB)に曝露された皮膚で、酵素を介さないで行われます。