ウォッツの二世代前には芸術と倫理観とを切り離せないものとして、神秘主義に接近して予言書というジャンルの作品を出版し、歴史に異彩を放った詩人・画家がいたことが思い出される。

ウイリアム・ブレイク William Blake (1757-1827)がその人である。

さすがにフランス革命以後の激動の時代を生きたブレイクの神秘主義とは比較にならないが、ウォッツもまた芸術を自己目的的に追求せず、信仰に基づく人倫への寄与を目指して精進した最後の「預言者的」画家である。

二人と同じように絵画様式上の自然秩序を神の全能に結びつける中世以後の芸術家としては、ルネサンスの黎明期にジョットという近代写実画の祖がいる。

しかし、ブレイクとウォッツとはむしろ後期ルネサンスのミケランジェロの芸術に対する崇敬を共有した。英国絵画史上で、予言者的ということとミケランジェロへの憧憬とがこの二人の中で偶然に重なるのだが、ウォッツとブレイクの関連性にはこれ以上の意味はない。

ただ、バロック様式との関連で、ウォッツの描いた渦巻く女性群像の先例としてブレイクの作品を一つだけ以下に例示するにとどめる(後掲図6参照)。