「恥ずかしがらなくていいんじゃない? いい趣味だと思うけど」

「いや、恥ずかしがるとかないんで」

礼はそう言うが、その表情を見るとどこか気恥ずかしいのだろうという気がする。それを見ていると、少し意地悪したくなってしまった。

「どういう写真撮るの?」

「……木とか」

「それ以外は?」

「水とか?」

「ねぇ、データないの? 見せてよ」

「大したことないんで」

「プライベートの話、したいんじゃないの?」

はぐらかそうとする礼にそう言ってみると、礼は黙ってスマホの画面に写真を映した。

「えっ、これ全部吉川君が撮ったの?」

「そうです」

スマホの画面を覗き見てみると、趣味程度というよりは素人目に見てもかなり上手で、犬の写真には普段礼から感じられないような愛情みたいなものが感じられる。

「すごいね……。どうして写真を撮ろうと思ったの?」

「理由は特にないですけど」

「いつから?」

「んー、高校くらいですかね」

「へぇ~。カメラ、買ってもらったの? こういう一眼レフ? とかって高いんじゃない?」

「自分で、バイトして買いました」

「偉いね。じゃあやっぱり、写真好きなんだ」

そう言うと、礼は少し視線を落とした。まさか趣味のカメラに関する話でそんな表情をされると思っていなかった千春は、狼狽してしまう。

次回更新は2月19日(木)、11時の予定です。

 

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