包丁を持って追いかけられる!
岡村さんは、若い時は知らない人がいないぐらいの有名な暴力団員でした。脳の動脈硬化が進み認知症を発症して以来、唯一面倒を見てくれていた奥さんが、家を出てしまったので、一人暮らしをせざるを得なくなりました。
ある日近所の方から、岡村さん宅の新聞が、郵便ポストに入ったままになっており、呼び鈴を押しても返事がない、と民生委員に連絡が入りました。
民生委員は、岡村さんが元暴力団員と知っているので警戒し、まず警察に連絡し駆けつけた警察官と一緒に家に入りました。
中に入ると岡村さんがリビングで倒れていました。呼吸はしていましたが意識がないようです。病院へ緊急入院となりましたが、治療のかいあって急速に回復し、元暴力団員の一面が出てきました。看護師達は怖がって近づくのを嫌がり、困った主治医は知り合いの服部に連絡してきました。
「服部さん、看護師が怖がって岡村さんに近寄らないんだ。これ以上入院させるのは無理だから、自宅で生活できるように、そちらの施設で面倒見てくれないかな」
服部はまた無理難題を押しつけられたと感じましたが、いつもお世話になっている主治医の先生の頼みだったので、
「わかりました。やるだけやってみます。もし無理だったらまた助けてくださいね」
と言って引き受けてしまいました。
服部と大江は、自宅で生活できるように手すりやベッド、風呂場の改修を行い在宅介護が始まりました。始まってみると思ったほど悪党ではなく、服部やヘルパー達には抵抗もせず、介護を受け入れています。おそらく自分の行動を反省しているのかもしれません。