「確かに」
千晶が応じた。
「ドラマや映画でも予告殺人って大概お金目当てじゃなくて怨恨が動機だったりすることが多いよね。でもあの人、小佐々さんに恨みがあったのかな?」
「最後にクビを宣告されてたけど、あれは予言をした後だしね。実は昔不倫してて捨てられて、その恨みを晴らしに来たとか」
「麻利衣!」
千晶がひとみの表情を伺いながら麻利衣を叱った。
「はっ、ごめんなさい」
「いいんです。でも私が知る限り、父は堅物で外で女を作るなんてことはできない人でした」
その時、賽子が口を開いた。
「おまえたちは何か勘違いをしているようだな」
「勘違い? 何のことですか?」
麻利衣が言った。
「おまえたちは小佐々氏が殺されたものと思い込んでいるようだが、彼は明らかに病死だ。医師もそう証言していただろう」
「でも、予言通りの時間に偶然病死するなんて考えられません。あれはひょっとして、華怜が自分に予知能力があると私たちに思い込ませるために、何らかの方法で小佐々さんを殺したんじゃないでしょうか」
「何らかの方法とは何だ」
「それは……そうだ、あの時机の上に水が置かれていました。その中に毒が入ってたとか」
「どうやってその水を0時きっかりに飲ませるんだ?」
「えーと、例えば就寝前に飲む薬があってそれを飲むために水が必要だったとか」
「父の薬には就寝前に内服するものはありませんでした」
ひとみが言った。
「うーん……」
麻利衣はそれ以上いい考えが思いつかず、閉口してしまった。その時ひとみが言った。
「私、先生に父の解剖をお願いしようと思います。それに毒薬物検査も。それなら父が毒殺されたかどうかはっきりしますから」
「それがいいと思います。それと、あの机の上の水も調べないと」
「でもそれを調べようと思ったら警察に連絡しないといけないんじゃない?」
千晶が言った。
「まだ毒殺かどうかはっきりしないのに警察を呼ぶのはちょっと……」
ひとみがためらっていると、足立が言った。
「それなら、戻ったら私の部屋で保管しておきましょう。私の部屋は外鍵もかけられますので誰かが侵入する心配もありません。もし解剖で毒殺が判明したら後から警察に届けましょう」
「無駄なことだがまあいいだろう。それで毒殺でないということがはっきりして、おまえたちが予知能力の存在を認めるのならばな」
賽子は傲然たる態度で言った。
次回更新は2月5日(木)、21時の予定です。
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