「今回のデートで南と連絡先を交換して親しくなれ。そして彼女目線の東堂とのエピソードを入手したら教えろ」

「できるわけないでしょ」

びっくりするくらい自分勝手な要求だった。

センチメンタルな空気を出しておいて、そりゃないだろ。

優しくしてやろうという気持ちが一瞬で冷めた。

「別に難しいことでもないだろ。女子って、やたらと連絡先を交換したがるもんだし」

「無駄に主語をでかくするな。南さんと私の都合を考えろ」

「まあ、無理なら無理で構わない。別のルートを探すだけだ」

いや、諦めろよ。別のルートってなんだよ。まさか犠牲者を増やすわけじゃないだろうな。

こいつ、東堂のことになるとなりふり構わないところがある。二年間クラスが一緒だったはずなんだけど、全然気づかなかった。そもそも西海も隠していたんだろうし、西海に興味がなかったし、西海も私に興味がなかっただろうから当然だが。

「西海が東堂のことを好きなのはわかったけどさ、それって結局ライクなの? ラブなの?」

つまるところ友愛か恋愛か。

私の主観ではラブのほうじゃないかと思っている。友情だったら普通はこんな面倒なことをしてまで相手のことを把握していたいなんて考えないだろう。

普通じゃ物足りなくて特別を欲しがっているのだから、それはもうラブだろう。なにより東堂と南さんの話をしているときの西海はとても羨ましそうな顔をしていたから。

「強いて言えばpreciousだな」

 西海の答えは、そのどちらでもなかった。

「それ何語?」

「英語」

 絶対嘘だ。授業でそんな単語習っていない。

 

👉『親友を推してるヤバいやつの彼女』連載記事一覧はこちら

【イチオシ記事】彼は私をベッドに押し倒し、「いいんだよね?」と聞いた。頷くと、次のキスはもう少し深く求められ…

【注目記事】「若くて綺麗なうちに死んだら、あなたの永遠の女性になれるかしら?」「冗談じゃない」彼は抱き寄せてキスし、耳元に囁いた