【前回の記事を読む】「居酒屋でオフ会しませんか?」ネットで仲の良いフォロワーからのお誘い。「行きたいです!」と返すと、すぐに返事が来て…
4 人知れずこそ
都会に出て一人暮らしをしていると、交際費に割ける分は必然的に減っていった。
家賃、水道光熱費、通信費……。余った金額で食費を考慮すると、友人ができてもテーマパークに行って遊べるお金なんて残らなかった。ランチの平均価格が千五百円を超えた頃から自然と連絡が減っていった。
その頃の友人に連れられて行ったバーでできた彼氏は年上だった。
まだ私は地下鉄に慣れていなくて、複雑な路線図を読み解く姿が格好よく見えたんだった。あまり人の話を聞かない男だったけど。
プレゼントに青いキーケースをくれた男だった。それは今も使っている。ふとしたときに好きな色の話になって、赤が好きなんだよね、と言ったら二度と言うなと怒られて別れてしまった。
もらったお給料はかんなで削られるようにあっという間に消えて、周りから人がいなくなって細くなった自分だけが残った。
そうして上京一年目が終わって二年目になった。寂しさの埋め方はなんとなく分かってきたけれど、孤独の全てを消費できるお金はなかった。
行き着いた消耗しない趣味が短歌だった。
物語を書く気力はなく、歌う胆力はなく、ただ読む体力はあった。それから詠んでみるには知力が足りなかったが、まあ見よう見まねでなんとかやっている。
春に始めた、短歌を記録する用アカウント。
仕事が夕方に終わっても、誰かと会う約束なんてない。そんな人はいなくなったから時間はあった。毎日投稿していた。川に笹舟を浮かべるような気持ちで、言葉を川に流した。
向かいのタワマン低層階のベランダに鯉のぼりが見える頃、惨状院JO太郎さんにフォローされ、歌仙敷さんにフォローされ……そこから数人フォローをしてくれる人ができた。
コメントをしてもらって、返していくうちに交流が続くようになった。
惨状院さんは〝アドバイスおじさん〟だが、交流が好きなタイプのようで、やりとりしているうちにほかの人の言葉の川とも合流することができた。