四季を表す季語が使われるのが俳句の条件であり、季語の殆どは動植物の名称や気象を表す言葉です。
日本人の先祖は物や動物を大切にしてきました。針供養や鐘供養、人形供養に代表される様に、日本人は長年使用した道具に対してさえ感謝の気持ちを表しました。
動物の供養塔もあります。草木塔(そうもくとう)とは草や木にも魂がある事を感じた日本人が自然への感謝を込めて建立した石碑であり、江戸期の草木塔は全国で34基確認されています。
「南部裂織(なんぶさきおり)」は着古した布を再生する東北の機織り技法で、細く裂いた布を横糸に、木綿糸を縦糸にして手動の機で織ります。
「焼き継ぎ」とは割れた陶器を修理する技法であり、とりわけ破損した部分を漆で接着した後に金粉で装飾する「金継(きんつ)ぎ」は芸術の域に達しています。
再利用社会の江戸でゴミは殆ど出なかったというから、アメリカの大量生産大量消費に迎合しなければ、環境問題もここまで深刻にならなかったでしょう。
小泉八雲が著した『日本人の微笑』から引用します。
「日本の若い世代が軽蔑(けいべつ)すべきものとみなしている自国の過去へ、日本人が将来振り返る日が必ず来るであろう、
(略)いまは消え失せてしまった古風な忍耐や自己犠牲、古風な礼儀、(略)日本人はその時多くの事物を思い返して驚きまた嘆くに相違ない。
とくに古代の神々の顔を見、表情を見なおして驚くに相違ない。
なぜならその神々の微笑はかつては日本人自身の似顔絵であり、その日本人自身の微笑でもあったのだから。」(小泉八雲『明治日本の面影』講談社学術文庫)
現在の日本を言い当てている小泉八雲[1]はメイスン宛の手紙でこうも言っています、
「日本は何という恐ろしい速さで近代化していくのでしょう。それも服装や建築や習慣ではなく、心と態度に於いてです」と。