都に運ばれた酒呑童子の首級は確かめもされず、すぐに宝物庫にしまわれ、頼光の報告はお抱え絵師により絵詞(えことば)に残され、この騒動は落着した。ただ、騒動の発端となった〈とある者〉の正体を頼光が明かすことはなかった。
頼光らが山に入ると、かつて鬼に攫われ、今なお谷の河原で雑役を課せられている老婆がいた。
「人も通わぬ山間の隧道の先に鬼の住まう屋敷がある。鬼どもは大の酒好きだ。警戒されぬよう修験者のなりをし、背に酒や肴を負い屋敷に向かうがよろしかろう」
そう老婆に教えられた通り、頼光らが鬼どもに酒肴を見せると、屋敷に招き入れられ酒宴になった。こうしてさんざん酔わせ一網打尽にしたと『大江山絵詞』は伝えている。