「何について占いましょうか?」
「誰か占ってもらいたい人はいるかね?」
崇夫が問いかけると、直美がすぐに手を上げた。
「直美、こんなインチキ占い師なんか信用するんじゃないわよ」
離れた所から貴子が咎めたが、直美は平然と言った。
「いいじゃない。面白そうなんだから。ねえ、私の恋愛運を占ってよ」
「承知しました」
華怜は一枚のカードをめくった。
「恋人、逆位置。しばらくはうまくいきそうにありません。焦らない方がよいでしょう」
「何だ、つまんないの。こんなの当たるわけないじゃん」
直美はすっかり臍を曲げた。
「ねえ、私たちも占ってもらいましょうよ」
千晶が眼を輝かせて言ったが、麻利衣とひとみは戸惑っていた。
「私、今婚約している人がいるんです。その人と幸せな結婚ができるでしょうか?」
華怜はカードをシャッフルし直すとさらに一枚のカードを引いた。
「女帝、逆位置。新婚のうちはいいでしょうが、そのうちにあなたの本性が曝け出し、あなたのわがままに相手が振り回されて呆れられてしまうでしょう」
「えー、そんなー。私、わがままじゃないよね、麻利衣」
「あ、うん……」
「ねえ、麻利衣も占ってもらいなよ」
「いや、私は占いなんか信じないから……」
「そう言わないで当たるもなんとかって言うでしょ。ほら」
「ああ、それじゃ、私は一体何の仕事に向いているんでしょうか?」
華怜は細い目で麻利衣を一瞥してからカードを引いた。
「運命の輪、逆位置。あなたは今、恐ろしい運命の波に巻き込まれています。交際する人に注意しなさい。その人はあなたを奈落の底に陥れます」
麻利衣は蒼褪めて思わず賽子の方を振り返ったが、彼女は眉一つ動かさなかった。
「賽子さんも占ってもらったらどうですか?」
千晶が言うと、華怜が横目で賽子の顔を睨んだ。
「私は完全能力者(パーフェクトサイキック)だ。未来予知などわけもないことだ。わざわざ他人に頼む謂れはない」
賽子が答えると華怜は甲高い声で笑い出した。
「あっはははは、面白い人。あなたのような人には初めて会いました。私以外にも予知能力者がいたなんて。お目にかかれて光栄です」
次回更新は2月1日(日)、21時の予定です。