【前回の記事を読む】『諦める』ことは敗北じゃない!――夢中になった筋トレから学んだ"前向きな諦め"の力と、自分らしい人生を切り拓くための選択

第7章

7-8.諦めるという選択

海外での大会優勝。それはお金も時間もかかったが、かけがえない経験だった。挑戦して非常によかったと今でも思う。

しかし、ここから自体重トレーニングのさらなる邁進には取り組まなかった。この自体重トレーニング(ストリートワークアウト)の日本における広がり方と、アメリカでの広がり方、2つを比較すると、文化的に日本では大きく発展しない可能性が高いと考えたのだ。

高温多湿気候の日本、筋トレの普及度、公園で筋トレをするという文化。それを考えると、果たして日本に定着するか? 受容されるか?という障壁があった。ちょっと考えてみて欲しい。

アメリカの公園では日常だが、上裸の男が公園で筋トレしていたら、日本では間違いなく通報されるだろう。

また、そもそも、今の生活環境で、日本での普及に関わる役割を果たしながら、そこで生活の糧を得ることはできるのか? 自分の性格や容姿、知能からの実現の可能性を考えた。結論は「難しい」であった。

そこからまた小さな(私の中では大きな)計画の修正を行った。

大きな目的は「筋肉で飯を食う」である。そのための具体的な手段は、変更されても良いのだ。あなたも同じだ。大きな目的を見失わないこと。一つの手段に固執しないこと。これを意識して欲しい。

そしていま、私はボディビルディング、つまり筋肥大に特化したトレーニングを行っている。

ここに行きついたのは、たまたま自宅付近に、世界の中でも有数のボディビルディングに特化し、集中できるジムがあったことが大きい。

ベンチプレスやストリートワークアウトよりも、自分の生活スタイル、素質に適応(腹筋の形に比較的に恵まれていた)していると予想できたこと。また、トレーナーやボディメイキングにおいて、ボディメイキング系の大会での実績は役に立つこと(今は事情が変わってきたが)、これらを分析した結果である。

このように文章にしてみると、目的に対して遠回りの道を歩んだのではないかと、自分でも感じてしまう。しかし、一見遠回りと思える経験も今に繋がっていると断言できる。

だからあなたも、時には、感情がおもむくまま、自分の本能に従って、何かに手をつけ、可能な限り挑戦して欲しい。これが「真の努力」となる。挑戦することで、自身の立ち位置が変化し、視点が変わるはずだ。

別に、仕事を辞めよう、全く未知の土地で生活しよう、と勧めてはいない。ほんの少しの行動の変化や挑戦でいいのだ。決して大きなリスクをとる必要はない。いや全くリスクをとらずにでも、実は世の中は、挑戦できることに溢れている。たとえば、なにもしない休日に筋トレを始めることも挑戦だ。

「小さな変化や挑戦では何も変わらないのでは?」

そう思うかもしれない。だが、必ずあなたの視点が少し変わる。これは約束できる。見える風景が、見る高さが変わるのだ。

そして、挑戦とそれによる変化を続ければ、ある日突然、全く見えなかったものが見えるようになる。できなかったことができるようになる。

少しずつでいい。何も変わらない毎日から、一歩を踏み出そう。

踏み出したら、ずっと「変化」を追い求め続けよう。人生は有限だからこそ、行けるとこるまでいってみようではないか。