仙一達は、着いて間もなく売り場の1階から上階へとひととおり下見をした後、あらかじめ、話し合っていたプラン通り、6階の大食堂には11時過ぎに入った。

特に日曜日は、お昼近くになると客達はその大食堂へ集中する。

仙一と一夫は、広々と山並みの見える窓辺の丸いテーブルに、席を取る事が出来た。

そして、仙一と一夫は、予定していた念願のハヤシライスを注文した。

ガラスの陳列ケースの見本を見て日の丸の旗を立てた、お子様ランチを注文したかった二人だった。しかし、十代でも大人の風態の自分達が、旗の立ったお子様ランチを注文するのは恥ずかしさもあって流石に出来ない。やがてオーダーした物が席に届いた。

綺麗な大きな、銀線入りの白い皿に盛られた、白いご飯と赤茶色のトローッとしたスープ様のハヤシライスが、皿とは別のグレービー・ポートにレードルが添えられてテーブルに届いた。

仙一達は、今まで経験のない豪華な仕様にちょっとドギマギしながらも、ご飯にかけたハヤシライスを口に頬張った。

初めて食べたハヤシライスは本当に美味しかった。

仙一は、糠の尚にも一恵や母にも食べさせてやりたいなという想いを秘めて食事は 進んだ。

やがて食事も終わり、二人は屋上に上がって観覧車の前まで来た。

糠で待っている家族への想いを引きずりながら上がってきた仙一は、北の方角に目を凝らした。京都でも一段と高い比叡山が、東山の稜線に高く聳えていた。

あの比叡山の稜線の向こうに糠がある。

自分は、家族の待つ家へもうじき帰るんだな。

 

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