代金(だいきん)を支払って「高校卒業資格(こうこうそつぎょうしかく)」という実態(じったい)の薄い商品(しょうひん)を買っているようなものだった。これだけテスト範囲をズバリと教えてもらっても、中には赤点(あかてん)を取る生徒がいる。

先生たちは手慣(てな)れたもので、三回でも四回でも基準点(きじゅんてん)に達するまで同じ問題の追試験(ついしけん)を実施(じっし)した。

さすがに追試が四回ともなり、追試会場に自分が一人ともなれば生徒も、

「ヤベー俺一人かよ」

と頭を掻(か)き、ついでに舌まで出し、多少でも決(き)まり悪(わる)いポーズをとった。

どの科目の先生方も、さすがプロフェッショナルである。数秒の遅れもなく授業が始まり授業の終了時間はきっちりと守る。

数学(すうがく)や英語(えいご)などの授業が始まると生徒たちの殆(ほとん)どが机に突(つ)っ伏(ぷ)して寝込(ねこ)んでしまう。

夜通(よどお)しふしだらに漫画を読み続け睡眠不足(すいみんぶそく)となり疲弊(ひへい)した脳を休ませるには、打(う)って付(つ)けの時間となった。鼾(いびき)を搔(か)いている生徒もいる。訳(わけ)の分からない寝言(ねごと)を言っている生徒もいる。

でも、誰も笑う人はいない。全くおかしくはなかった。

いつもの常態化(じょうたいか)した光景(こうけい)で、おかしくも不思議(ふしぎ)でもなかった。