私にも彼氏ができた
その頃はナンパと言って、通りがかりの男が女を誘ってくることがあった。
男二人女二人。それが一番誘いやすかったのかもしれない。私たちも負けじと、江戸川で誘われ、4人で銀座で夕食を食べたことがあった。
お互いカップルになり、お付き合いが始まった。私の彼は、市川に下宿している学生で、ある日レンタカーを借りて銚子までドライブに出かけた。
「もっと強くならなければダメだよ」と言われ、「はっ、私は弱いんだ!」ビックリ。
こう言われたのは初めてだった。自分がよくわからなくてつらかった。車から流れる『喝采』の歌が余計に私の心をしめつけた。
彼は25歳、ある大学のきたない学食でタンメンを一緒に食べた。今考えるとまるでカチクのえさのようだったが、そんなぜいたくを言っては叱られてしまう。
あの頃は、学生運動で看板が門の前に並んでいた。決して男前とかではないが、夏休みは実家の天草から長い手紙をよく送ってくださった。
自分のことを小生小生と言ってはきれいな字を書く人だった。
今思うと、彼は割に物事をわかっている人だったように思う。
一年ほどで私が会社を辞めたので会わなくなったが、彼が結婚してからもずっと年賀状だけはくださった。
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