少し大人の恋そしてオフィスレディへ

その後私は、せめて洋裁ができればと、ワイシャツ会社へ転職したのだった。

今度は赤羽の寮に入り、悩み事等、寮母さんに話すことがあった。寮母さんは70歳のおばあちゃん。不倫は円満解決。私が会社を辞めることになり、二人でラーメンを食べてさよならした。二度と会うことはない。

当時教会へ行っていて、ある女性が教会に献身に入ったため、辞めた彼女に保険会社を紹介していただき、入社することができた。

最初は、銀座の古いビルだったが、次の年からは渋谷に移転、当時ではたぶん渋谷で一番高いビルだったと思う。ちょっとしたステータスを感じ、思い切りおしゃれをして出かけた。

紹介してくださった彼女は私より2つ年上で、教会では一番気も合った。とにかく人間的には素敵な人、というよりかなり聡明な人だった。

しかしながら、私は見かけだおれで、何もうまくいかず、少々苦しんだ。

私はどうも何でもできるように見えたようなのだが――何もできない――。

私の仕事は「コンピュータの用紙の全管理」。当時は、キカイ科と言って、コンピュータで事務処理が何でもできるようになり始めた頃だった、なぜかキカイ室はかなり冷房がきつかった。とにかく、領収書の用紙がなくなると大変で課長はいつもそればかり気にしていた。

しかしながら、仕事は仕事。課長は大久保の近くのマンションに住んでいたので一度お邪魔したこともあった。

やりがいのある仕事で、取引する印刷会社は4社あり、私の所に挨拶に来てくださった。

また、用紙のレイアウトが変わるときには、いろんな課の担当の方が、私に電話してくださり、私が印刷会社に用紙のここが変わりますよと伝えていた。

そのうちに課長が代わり、私はひとりで昼休みも過ごすことが多くなった。自分探しのために、ひとりで本を読んでいることが多かったが、その新しい課長はやけに本の中身を覗くなど興味を持っていた。

ふと、お互いに気があると感じる瞬間があったが、課長はうまくかわしてスルーするようになった。ひとり暮らし、自分探しにだんだんと行きづまっていく私だった。

私は大久保でひとり住まいが始まっていて、ひとりの寂しさを痛いほど感じたのはこの頃。以前の彼の言葉ではないが、弱いと思った。