今では大腸ポリープ切除術時のAI補助診断が、診療報酬に反映されるようになりました。AI導入する医療機関はまだ大学病院などの研究機関や一部の最先端の内視鏡クリニックに限られているため、普及するには工夫と時間が必要と思われます。

日本消化器内視鏡学会でもAIのセッションが盛んになっています。ただし、正確、かつ的確に診断する最終判断は内視鏡医が行う必要があり、責任も内視鏡医にあります。

また、安全に確実に行う医療行為の内視鏡検査や内視鏡治療も、内視鏡施行医とメディカルスタッフにかかっていますので、内視鏡そのものをAIが行うことはこれからもできません。これからも変わらず内視鏡医の必要性はあると思います。

さらに今後大切となる視点は、つらい場合のある内視鏡検査をどれだけ苦痛なく受けることができるようにするかでしょう。これはAIが進化しても、医師や医療機関がどれだけ患者さんに寄り添ってその苦痛を取り除こうと配慮できるかにかかっています。

参考

1 A new invention of Lower Leg Holder for an examinee contributes to safer colonoscopy.

Nobuhiro Aoki,et al.DDW2014,Chicago,2014,Sal431.

2 青木信裕、他「医師と介助者と被検者の負担を軽減する新規大腸内視鏡検査用下腿載置台の開発」(第87回日本消化器内視鏡学会総会、2014、O24-09)

3 池田宗弘、青木信裕、他著「被検者・介助者・検査医にやさしい内視鏡用ストレッチャーの開発」(日本消化器内視鏡技師会会報 2015;55:115-117)

コラム 内視鏡開発の歴史

生きているヒトの胃や大腸の中を直接見てみたいというのは、内視鏡のなかった古代ギリシア・ローマ時代からの人類の欲求でした。偉人ヒポクラテス(紀元前460年~370年頃)は肛門に器具を差し入れて広げ、内部の痔を観察して患部を焼く治療を施しています。

西暦79年に起きたヴェスヴィオ火山によってできたポンペイの遺跡からも、同種の内視鏡の原型と思われる医療器具が発掘されています。

胃の中を最初に観察したのは、1868年だという記録が残されています。ドイツのフライブルグ大学の内科教授クスマウルが、剣を呑み込む大道芸人を被検者にして、金属でできた長さ47cm、直径13mmのまっすぐな筒を用いて、生きている人間の胃の観察に初めて成功しました。

 

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