春は誕生のシーズン

5月、雪が解けたイエローストーン国立公園では新しい誕生の季節が始まっていた。

観光客の多い夏場は公園奥に引っ込みなかなか出てこない動物たちも、この時期にはあまり人目を恐れず、道路脇で草を食む姿を近くで見ることができる。

生まれたばかりのエルクの子供はよろけながらもすぐに立ち上がり必死に母親の周りを歩き、茶色の毛に被われたバイソンの子供たちはふざけて野原を飛び回る。

大人たちの醜い姿に比べてなんとも愛くるしいその姿に、子供たちの周りにはいつもカメラの行列ができる。

母親は草を食むのに夢中だが、しっかりと子供の行動を監視していて、人間がそばに近づきすぎるとすぐに甲高い声で呼び付ける。そんな赤ん坊バイソンに、昨年生まれた兄貴分のバイソンが、自然の掟を教えている。

「人間たちを信用しちゃだめだよ」とでも言っているのか、赤ん坊バイソンはすぐに群れの中に入ってしまった。

まるで動物一家の幼稚園でも眺めているかのごとく平和な愛くるしい姿に、時がたつのを忘れてしまう春の1日だった。