24番の最御崎寺から土佐に入ります。これが修行の道といわれ太平洋を左手に見ながらひたすら歩きます。ここを踏破すれば歩く姿すら本物のお遍路さんに変わる道といわれます。人生でいうなら仕事を覚え職場の中でも一人前として最前線で戦う戦士になった頃でしょう。
40番の観自在寺から65番の三角寺まで菩薩の道、ここには弘法大師さまも足を引きずって難儀して歩かれ、足摺岬の地名が付いたといわれる90キロ以上の遍路道があり、この道を踏破すれば道後温泉が待っています。人生でいえば定年前までの一番充実した時期で、会社や家庭において責任も大きく、後進の指導や社会人としての貢献もしなくてはならない時期といえます。
山の上にある66番の雲辺寺から88番までが涅槃の道と呼ばれており、雲辺寺の横にはスキー場があり、四国は暖かいところと思っている人にはびっくりするお寺です。冬、雪の積もる500羅漢の参道を歩けば、今までに巡り合った人々の顔を思い出すかもしれません。7月には紫陽花寺といわれ、冬の厳しさとは一変した気持ちを持たしてくれる涅槃の道の始まりです。
最後の88番大窪寺への道には多くの石楠花が咲き、踏みしめる1歩1歩に嬉しさが湧いてきます。人生でもこのように最後は命を使い切った達成の喜びを味わいながら終わりたいですね。大窪寺をお参りして満願達成のお礼に高野山奥の院におられる弘法大師さまへ参るのですが、これで閻魔大王様の前を通る時の通行手形が完成となり一安心です。
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