間に合わず漏らしてしまう「切迫性尿失禁」とは？帰宅時の急な尿意の他、水の音や冷えに反応してしまう例も。

第2章　改善へ向けた当院の診断・診察の進め方

この章の流れ

代表的な泌尿器科の疾患の治療の進め方、夜間頻尿のアプローチ、生活指導の改善過程に必要な記録用紙について紹介しています。

1．排尿障害の診断の進め方：実例紹介

新患患者さん　男性　67歳

主訴　夜間頻尿3回、切迫尿意、排尿困難を訴えて来院

　　

〈排尿障害の診断の進め方〉

問診　　　　　　　排尿症状と蓄尿症状に関するアンケート

尿検査　　　　　　血尿、感染尿、糖尿、蛋白尿、尿PH（酸性度）、尿比重

超音波検査　　　　前立腺のサイズ、残尿、腎臓膀胱の状態観察　オプション検査　

尿流測定　血液検査　スクリーニング検査　PSA（前立腺腫瘍マーカーである前立腺特異蛋白質）腎機能　eGFR（糸球体で‌1分間に濾過される血漿の量、濾過能力の指標）

〈所見〉

尿所見　　　　正常　尿比重1・015

超音波所見　　前立腺肥大症　体積50cm³　残尿40㏄

血液所見　　　血液一般検査は正常　PSAは2・51ng／mL

eGFR　63ml／min／1・73m²

〈診断〉

過活動膀胱症状を伴う前立腺肥大症