【前回の記事を読む】70年使われた角膜が移植され、再び30代の視界を照らす——老化のスピードは臓器ごとに違う?

パート2 寿命を延ばすスタート地点 「診断」

体の老化状態を確認する

臓器ネットワークの例として、「腸脳相関」が有名です[参考文献1]。ご存じのように、私たち人間が人間たる所以は、大きな脳を有していることにあります。脳の進化により、自己を意識することが可能となり、また、自己の存在を大切にするために寿命を意識するようになりました。

一方で、腸は単なる消化を司る管状の臓器ではなく、複雑な神経系を持っています。神経細胞が豊富であるため、腸は「第二の脳」とも表現されます。

腸には常在菌も多数存在し、その数は私たちの体を構成するすべての細胞の総数を上回っています。腸内細菌も健康維持に重要な役割を担いますが、こちらも加齢とともに変化します。

中には長寿を支える特別な腸内細菌が100歳を超える超高齢者に存在することも明らかになっています[参考文献2]

加齢プロセスの評価は、まず身長、体重、腹囲などの身体計測から始まります。

次に、肥満度を表す体格指数であるBMIを算出し、メタボリックシンドロームの評価を行います。体成分分析装置を使用することで、筋肉量や脂肪量、腕や脚などの部位別の筋肉量やタンパク質、ミネラル、脂肪の量も正確に計測できます。

こうした基礎データを評価することによって、今後重点的に対処すべき箇所が明らかになります。詳細な評価は年に1回程度で問題ありませんが、自宅でヘルスメーターを使った測定をすることもモチベーションの維持には効果があります。