【前回の記事を読む】大津に引っ越したら、花粉症に。→家の近くにあった●●が原因?
1 健康第一
2 健康を維持する食事
野菜を毎日食べよう
すなわち、植物は絶えず体内で活性酸素が発生する危険にさらされている。活性酸素は、周りのタンパク質や遺伝物質などに結合して変性させるので、植物にとっては、活性酸素の害から身を守ることが、進化の過程で至上命令であった、と考えられる。
そのため、光合成を行う植物は、各種の抗酸化成分の生合成系を発達させて、活性酸素の害を取り除く代謝系を創り上げてきた。抗酸化成分とは、ビタミンC、E、カロチノイド(ビタミンA)、ポリフェノール類、システインなどの含硫化合物などであり、体内で絶えず発生する活性酸素を消去するために必要である。
ポリフェノールは、野菜やワインの赤い色素、お茶などに含まれるカテキン類、コーヒーの苦み成分、カレーの黄色い色素、などである。
人体内で活性酸素はどのようなときに生成されるのか。一番普遍的には、ミトコンドリアの酸素呼吸時である。ミトコンドリアでは常時電子が流れているので、それが周りの分子状酸素に渡されれば、活性酸素となる。
しかし、酸素呼吸時に発生する活性酸素は、SOD(スーパーオキサイドディスムターゼ)という酵素によりすぐに過酸化水素に変換され、野菜などに含まれる抗酸化成分があれば、さらに水にまで変換されて無毒化されるので、生体にとって大きな障害にはならない。
ただし、マラソンのような激しい運動時には活性酸素が多く発生するので、抗酸化成分を含む緑色野菜を多く摂るなどの対策が必要である。人体内では、炎症が起きたときにも、免疫細胞が活性酸素を出して異物を破壊しようとする。炎症が慢性化すると、活性酸素が周りの細胞に害を及ぼす。
また、光合成では、外部から二酸化炭素が入らなくなると、内部で二酸化炭素を発生させて、活性酸素の発生を防いでいる。この代謝系を光呼吸というが、この代謝系で活性型葉酸を使うので、緑色の野菜には活性型葉酸が多く含まれている。
活性型葉酸は、DNAの塩基の生合成に必要であるので、細胞分裂時に必須である。動物は、そのような植物を食べることで、抗酸化成分を得て、動物体内で発生する活性酸素を除去し、また皮膚や免疫細胞、味覚細胞の細胞分裂時に必要な活性型葉酸を得てきた。