肉食動物は草食動物を生で食べることにより、草食動物に含まれる抗酸化成分や活性型葉酸を得ている。ところが、ヒトの祖先は、動物の肉を加熱する方法を身に付けた。肉は焼いた方がうまかったためと考えられる。

しかし、肉は加熱することにより、その中に含まれる抗酸化成分や活性型葉酸は酸化失活する。すなわち、ヒトの祖先は肉や内臓を加熱調理することにより、肉に含まれる抗酸化成分や内臓に含まれる活性型葉酸を得ることができなくなったのである。

動物の肉などにも抗酸化成分が含まれているが、その代表はグルタチオンに含まれるシステインである。システインも植物が生合成する抗酸化成分である。すなわち、動物は、その進化の過程で必要な抗酸化成分の大部分を植物に依存する戦略をとっていたことになる。

多くの動物は草食であり、餌として常時植物を得ているので、体内で必要な抗酸化成分を補うことができる。肉食動物は、草食動物の肉や内臓を生のまま食べるので、その中に含まれる抗酸化成分を補給できる。すなわち、活性酸素の害を消去する抗酸化成分は、基本的には植物起源なのである。

そのため、ヒトの祖先は、抗酸化成分や活性型葉酸を得るためには、植物(野菜)を直接食べる必要があった。しかも、約5000万年前には、代表的な抗酸化成分であるビタミンCの生合成能力も失ってしまった。そのため、本来であれば、植物(野菜)をより多く食べなければならない身体の作りになっていたのである。

ただ、永年の間、人々の食事に肉がメインになることはなく、野菜をはじめ植物性の穀物などが中心であった。その間は、植物からの抗酸化成分や葉酸も得ていたと考えられる。

問題はここ数十年である。特に日本では加工食品が多くなり、野菜の消費が減少し続けている。近年、野菜を食べなくなっている状況とがんや脳卒中、心臓病が増加している状況とはよく対応している。野生の動物には、がんの発生が非常に低いことが分かっている。また、生の肉を食べるエスキモー(イヌイット)は、がんの発生が非常に低いことも分かっている。

 

👉『孫たちへ~人生で大切な4つの指針~』連載記事一覧はこちら

【12/17(水)「注目の新連載」と「2025年話題作ピックアップ」がスタート】

20時配信|2025年話題作ピックアップ

『東京フェイクLove♡』

57歳主婦が踏み込んだ、都心のデザイナーズマンション302号室。待っていたのは24歳イケメンセラピスト――その出会いが日常を狂わせていく。

第1回記事 57歳で、ずっとレス夫婦だった。初めて予約したイケメンマッサージで、宣材写真の中から指名したのは、一番若くて…

 

21時配信|注目の新連載

『超能力探偵 河原賽子』

人生どん底の女性が出会ったのはタワマン最上階に住む自称“超能力探偵”河原賽子。 密室で“無数のナイフで壁に磔”にされた猟奇事件――賽子は「サイコキネシス殺人」と断言するが…。

第1回記事 「実力不足」と家庭教師をクビになった日、道で男とぶつかって眼鏡を破損。さらに顔に飛んできた紙には、信じられない悪口が…