まえがき
2020年11月2日の朝、突然高熱と脱力感に襲われた。立ち上がることもできず、結局、妻に近くの大津市民病院の救急へ連れていってもらった。
市民病院では、毎日大量の抗生剤の点滴を受けたが、高熱の原因が分からず、2週間後に京都府立医大病院に転院した。
府立医大病院で病名が確定したのは12月で、全身の血管が炎症を引き起こす「血管炎」だということが分かった。
府立医大病院では、血管炎を引き起こす免疫細胞を特定し、その治療方法も見つけてくれた。1月以降は発熱もなくなり、2月16日に退院した。
その間、約4ヶ月の入院生活の中で、これまでの人生を振り返る機会に恵まれた。
これまでの人生は、ただひたすら、前をのみ見つめて突き進むことに明け暮れて、ゆっくりと後ろを振り返るゆとりがなかった。
4ヶ月の入院生活は、強制的に与えられた休養期間となり、貴重な時間でもあった。
いろいろな場面を思い浮かべながら、次第に整理できたことは、人生で大切なことは次の4つに集約できるということであった。
1 健康第一
2 家族が一番大切
3 生計に万全を期す
4 家族・国・人類の歴史をよく知り、考えの礎にすること
一人の人間として生まれて、79年間生きて得た教訓ともいえる人生訓である。この内容を孫たちに残して、少しでも参考にしてもらえたら、自分の人生が生きるのではないか、と思った。
この4箇条のみ残してもよいのであるが、少しだけ説明を加えた方がよいかと思い、ここに『孫たちへ』と題して小文を残すことにした。