私の専門は植物生理学であるが、大学で生物学の講義を30年以上続けてきたので、生物学全般についても、一通りの知識はある。

また、大学では、小規模であった利点で、人文科学系、社会科学系、自然科学系など、いろいろな分野の研究者と交わる幸運に恵まれた。そのため、文化や歴史、自分の仕事と社会の関わりについても絶えず考えることができた。

そのことから、孫たちが出会うであろう、いろいろの問題について、意見が述べられるかもしれないと思った。

今回の病気は私の寿命を感じさせた。一人の人生が終わり、その中で得たエッセンスをこ れから人生の始まる孫たちに伝えたいと思う。

そのエッセンスの中心は「家族の大切さ」である。家族が大切であることは、皆分かっている。

しかし、現在の日本では、様々な理由で家族のあり方に問題が出てきており、その影響で子育てに困難を来している状況も出てきている。

また、一方で、例えば、統一教会(現在では名称を変更しているが、ここでは旧名称のままで使用)は、家族を大切にしようと言いながら人々を洗脳し高額な献金を強要している。

さらに日本の一部の政治家たちは、家族が大切と言いながら、戦前の家制度への復活を夢見て憲法改正を唱えている。

そのため、「家族の大切さ」といえば、何かうさんくさいニュアンスを感じるかもしれない。

しかし、本来、人間にとって家族はなくてはならない非常に大切な仕組みである。人は家族の中で生まれ、生まれた後もそのまま人間になるのではなく、家族の中で人間として育つ。

家族が正常に機能しなければ、子ども 5 には困難の多い人生になるだろう。

ここでもう一度、人間にとって家族とは何なのか、「本 6 来の家族とは? 本来の家族の機能とは?」を、ヒトの起源にまでさかのぼり確かめておく必要があると思う。

孫や孫世代の人たちが元気で人生を送ってくれるようにと願う。

2022年10月2日