「問題の本質は、ビューロクラシー(官僚的形式主義)と、コンフォーミティ(体制順応主義)や。官僚ちゅうても、公務員の批判やないで。どこにでも巣食うてる、権威的な事務形式主義という意味や。その体質が、現状を動かさん前例主義とセットになれば……そりゃもう、あかんやろ」
オッチャンは、一度息を吐きだし、今度は慣れた講義のような標準語で言葉を唱える。
「官公庁、民間企業、マルクスの言うアソシエーションも、商店組合だろうと、あらゆる組織はそれが生み出された時点から、効率的に集団活動を行うための事務局コンポーネントが形成される。つまり、システムと手続きの中枢です」
効率よく活動したい組織は、大きくなるにしたがって、システムと手続きが増殖します。評価項目、報告手続き、調整会議も増え続け、そのうち管理セクターに匿名的な権限が集中していくのです。
官僚的形式主義と体制順応主義は、無機質でブルシットな書類も増産します。資本主義であろうとなかろうと、集団が動き出せば、そのドライな権威システムは、必ず成長してしまうのです。
組織のデザイン権、予算編成権、管理指標の設定権、そして人事権。これらを統治する事務セクションにビューロクラシーが巣食いはじめると、管理中枢は、人間の群れを歯車に仕立て上げる……当の自分たちでさえもです。
いまや資本家が労働者を搾取しているというより、組織メカニズムにおけるビューロクラシーが人間を隷属させている。暴走する経済が搾取しているのは、地球資源だけではなく、人間性そのものです。
次回更新は12月17日(水)、11時の予定です。
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