視線にのる風景
目が合い ふと流れる空気に心を感じる
何となく 以前から 親しかったような
何となく 上手くやっていけそうな
何となく 二人で居ると 空気に透明感が増すような
そんな視線に乗る風景と ふと 出会う
通りすがりの時間の中で――
でも 電車のドアーが開き
今自分がここにいる理由へ 心は流れる
今日の時間は 明日の糧に費やされ
心に乗せる風景は また ぼやけていく
本当なら心の上を滑る時間を大切にし
ふと視線に留まる風景に 心を乗せれば
過ぎる時間の中に 在りたい自分を見つけられる かも? と
昨日にグチを探し 明日ばかり追って
今を忘れることも なさそう
でも やはり 今は 行き着く約束のない
これからのために忙しい
でも こうして 薄い時間が堆積し
いつしか 視線にのる風景がセピア色に変わる
これはいやだな 絶対に……
水たまりの青空
水たまり きれいな空が映る
ケイタイを耳にあて それを見ている
汚れたコンクリートの中に ポツンと青空
(だれが! 好きなの?)
ケイタイに言う
(もう終わりね そうでしょう? いいわ! どっちでも!)
どっちでもいい恋だった――
水たまりの端をスニーカーが歩き タバコが投げ込まれる
青空は周りのコンクリートに染まった
無感動になっていくこと
それが賢く生きてゆく事のように思えた
(なによ! 悪いのはどっちよ!)
どちらかが傷付かないと いつも終わらない
淋しいよね
ずっと? で はじまり
いいわ! で 終わる
人混みに染まって 歩いていく