プロローグ

人は運命に導かれ、生まれて来ると言うが……そんなもの有りっこない……運命なんて所詮は金魚と、それを喰らうピラニアだ……彼女との出会いが……そして僕が生まれて来たことこそが、間違いだったんだ。

あの時の僕は、そう思っていた……。

満開の桜の木の下で

2014.4.4 スケッチ

「ねぇ冨良人……。こんなの恥ずかしいよ……」

埼玉県さいたま市の鐘塚公園で花を持たされた月本明愛花(ツキモトアリサ)。

「いいのっ、いいのっ、そのままっ、そのまま」

彼女をスケッチする僕は、大空冨良人(オオゾラフラト)。風に揺れる彼女の長く細い髪の一本一本を、僕は素早く、けれど丁寧に捉えていく。照れながら周囲を気にかける明愛花に「ほらっ、動かないのっ」。明愛花は、むくれた表情で「うぃ~っす」と返し、僕を見つめる⋯⋯そして目が合うと、僕らは優しく微笑んだ……。

僕らは、付き合ってはいないが確かに相思相愛の仲だった。