【前回の記事を読む】「この前あった車の事故、私が起こしたの」彼女からの突然の告白だった。彼女は"不思議な力"を持っており…
第6章 オープンコンペ
いつも自分のクラブでの試合は、青ティを使うが今日は白ティだ。白は青より20から30ヤード手前だから、その分易しい。まあ、普通にプレーできれば、80前後でプレーできるだろう。桔梗にスコアで負けないように頑張ろう。
ところがである。プレーが始まると、前の組が遅いために待たされて、一向にプレーが進まない。前の組は、70代くらいの男性四人だった。
例えば、一人がショットするとそれを他の三人が打つ人の近くで見ている。次に打った人のボールの行方を見定めてから、次の人がショットの前のルーティーンに入る。
打ち終わったら、さっさとカートに乗り込めばいいのに、だらだら歩いてカートに戻ったり、ボールのところまで、とぼとぼ歩いていったり。
さらに、カートに乗れば速いのに、クラブを杖代わりに突きながら自分の打ったボールのところまで歩いてゆく。それからカートに行って次に使うクラブを持ち、ボールのところまで戻るといった具合だ。
ルールブックに速やかなプレーを心がけるべきことが書いてある。しかし、もともとあの人たちは、ルールもろくに知らないでラウンドしているのだ。まして、マナーのよいプレーを求めることなど、できっこない。
一緒に私たちとラウンドしている人たちもあきれてため息をつくやら、腕組みをして見ているやらで、自分のショットに集中できなくなっている。
そんな中、桔梗だけは自分のペースを守り、そこそこのプレーをしていた。私はといえば、ディボット跡に目土をしながら待つ時間をつぶした。