【前回記事を読む】祭のざわめきの中、寄り道を楽しむ叔母に合わせながら野外劇場を目指すイザベラ

Ⅰ 少女

第2章 聖ジョルジョ祭

「まあ、それは何時までなの?」

「4時までです」

「じゃあ大変。急がなきゃ」

叔母は急に早足で歩き出した。イザベラは必死で神様に祈りながら歩いた。

沢山の人々でごった返す道をイザベラも叔母も、人をかき分けかき分け無我夢中で野外劇場を目ざした。

人ごみの中でイザベラは、何度も叔母を見失いかけた。

「こっち、こっち」

「あっ、叔母様」

イザベラは全身の力でそちらへ行こうとしたが、押し戻され押し戻され、少しも体が進まなかった。

「ああ、もう間に合わない」

イザベラは泣きそうになりながら、人の隙間を無理矢理進んだ。

「後ちょっとよ。急ぎましょ」

叔母も必死だった。

「駄目だわ、もう」

イザベラは目の前が暗くなりかけた。

「あっ」

不意に叔母が叫んだ。

「間に合ったみたいよ」

遠目にも、野外劇場の舞台の上で戦の場面が繰り広げられているのが見え、イザベラも叔母も駈け出した。

野外劇場の入口まで駈けつけた時、突然、中から若者が飛び出して来た。

「フランチェスコ様だわ」

イザベラは心臓が止まりそうになった。