【前回記事を読む】子どもは絵を描くだけで楽しい。でも“親のひとこと”が成長を加速させる

1. 子どもの描画の発達段階

なぐり描き(スクリブル)の段階(1歳~2歳半頃)

①描く行為が楽しくて描きます

なぐり描きという行為は、身近にいる人が何かを描いていたり、文字を書いていたりする行為を見て、子どもがそれを模倣するところから始まります。また、クレヨンを与えて、どうするかを見せてあげて、描き方を伝えることからも可能です。

ただ、その時、子どもは、描きたい何かがあって描こうとするのではなくて、手を動かす行為自体を目的として描いていることを保護者は理解することが大切です。

なぐり描きをしている幼児の表情は、描くこと自体に集中しています。そこで、お母さんが、見本を描いて見せたりすると、それからは、お母さんの前で描くことはなくなるかもしれません。お母さんが絵を描くことはよいのですが、それを描くように子どもに指示することは避けなければなりません。子どもは、なぐり描きそれ自体を楽しんでいるのですから。

また、描画材もクレヨンだけで描くのではなく、パス(クレパス等)やフェルトペン等を与え、その違いを体験することも手の感覚の体験としてよいと思います。乳児期のなぐり描きは、大半が線描きなのでクレヨンが適していますが、面を塗るときに適した柔らかいクレパスなどのパス類も触覚の違いなどを楽しめてよいと思います。

さらに、滑らかな筆触のフェルトペンも気持ちがよいと思います。他に、マジックやサインペンなども体験すると手の触感が異なるので、それぞれ違ったなぐり描きの表現が見られるかもしれません。

さらに、フィンガーペインティングの体験も楽しいですよ。フィンガーペインティングは小麦粉をボウルに入れ、そこに4倍ほどの水を加えます。それをスプーンで混ぜ、小麦粉のダマがなくなるまで溶かします。

その後ボウルを火にかけ、ゆっくりとスプーンで混ぜながら中火で温め、白い水面が少し透明になり、泡が「ぼこっ、ぼこっ」と出てくるまで温めます。泡が出てきたら、火から下ろし、そのボウルを水の入った少し大きめの鍋や別のボウルに浮かべて冷まします。

冷めたら、ボウルから3つの容器に分けます。そして彩色をします。色は食紅を使います(手や口に触れても大丈夫です)。赤、黄、青の3原色の食紅で、3色の絵の具を作ります。それを紙の上に出して、手で自由に描くのです。描くというよりも、両手で広げたり寄せたり、混ぜたり、時折、指で描いたりといろいろな表現を楽しめます。