はじめに

皆さんは日常的にワインを楽しんでいますか?

私はすっかりその魅力に心を奪われ、外食や会食で欠かさずワインを飲むほどになりました。気づけばワイン歴は20年余。今や生活の中で欠かせない存在となっています。

しかし、最初からそうだったわけではありません。30代でワインを飲み始めた頃は、どこから手をつければよいのかまったく分からず、試行錯誤の連続でした。それ以前はもっぱらビール派で、ワインとは無縁の生活を送っていました。

そんな私がワインに魅了されるきっかけとなったのが、ニュージーランドでの出来事です。現在、私はエンジェル投資家としてスタートアップ企業の支援をしていますが、当時は主に日本人投資家を現地に案内するツアーのアテンドをしていました。

ニュージーランドはワイン大国として知られていますが、私は現地を訪れた際はいつもビールやカクテルばかり飲んでいました。そんなあるとき、現地のシェフから「せっかくだからワインを試してみたら?」と勧められ、渋々ながら口にした一杯の白ワイン。その深みのある美しい琥珀(こはく)色の液体がもたらした驚きと感動は、今でも鮮明に覚えています。

そこから私のワインの旅が始まりました。フランス、イタリア、スペイン、日本など、世界各地のワインを片っ端から試し、次第にその奥深さに魅了されていきます。そして約4年前、妻と参加したイベントで出会ったのがワインのインポーターである落合将充さんと佳代子さんご夫妻です。彼らから教わったワインに関する知識が、私にとって新たな世界を切り拓く契機となったのです。

このエッセイ集では、そんな私と妻がどのようにしてワインの世界に惹き込まれていったのか、その過程を描きました。私がそうであったように、ワインが多くの人の生活に新しい発見や喜びをもたらし、豊かなひとときを紡いでくれると信じています。本書を通じて、ワインの楽しみ方だけでなく、その奥深い魅力や日常に彩りを添える力を感じていただけると嬉しいです。

ワインは単なる飲み物ではありません。一杯のグラスに詰まった背景や物語を知ることで、食事が特別なものに変わります。また、お気に入りの一本を選び、誰かとその美味しさを共有する時間には、ほかには代えられない至高の喜びがあります。

さあ、一緒にワインの世界を楽しみましょう。

株式会社myコンサルティング代表取締役 坂元康宏