【前回の記事を読む】日本列島のまわりにある5つの「動物地理境界線」。その1つに北海道と本州を分ける『ブラキストン線』という境界線があり…

第一章    伝説の大陸と最終氷期の大陸

二 最終氷期の海面変動と沈んだ大陸

スンダランドとベーリンジア

この地域の東洋区の動物地理境界から東側のオーストラリア大陸までの地域は、東洋区でもオーストラリア区にも属さない特異な動物たちが棲む地域となっていて、生物地理学的には「ワラセア区」と呼ばれています。

例えばフィリピン諸島ではさまざまなメガネザルの仲間などがいて、スラウェシ島では長く曲がった牙をもつイノシシのバビルサなどの動物たちが生息しています。

このワラセア区の固有動物の分布の謎については、第三章の「四三万年前に沈んだ大陸」でお話しします。

一方、太平洋を北に上り、北極海の入り口にあたるベーリング海峡は、アラスカのスワード半島と、東シベリアのチュクチ半島との間にある海峡で、ユーラシア大陸と北アメリカ大陸を分かつ海峡です(図8)。

図8 北極点側から見たベーリング海峡周辺。最終氷期に海面が100m下がると海峡は陸になり、濃い色の部分が海になり、それ以外は陸地となりました。

この海峡の幅はもっとも狭い部分でも八六キロメートルあり、深さは水深三〇~五〇メートルと比較的浅い海底が広がっています。