そのため、この海峡は最終氷期には広大な陸地となり、ユーラシア大陸からヒト(モンゴロイド)をはじめ、ヒグマやケナガマンモスなどの動物が北アメリカ大陸に渡っていきました。
このベーリング海峡に最終氷期にあった大地は「ベーリンジア」と呼ばれます。このベーリンジアを渡って北アメリカ大陸に行ったヒトの仲間は、さらに南方にも進出して、遅くとも一万年前には南アメリカ大陸最南端のマゼラン海峡まで達しました。
このベーリンジアには、ウランゲル島という島があり、この島からはケナガマンモスの化石が発見されていて、それらは今から四〇〇〇年前に絶滅したとされています。
このケナガマンモスたちは最終氷期以降の海面上昇でベーリンジアが沈水する中、ウランゲル島にとり残されて生きのびた最後のケナガマンモスでした。
最終氷期以降の海面上昇と沈んだ大陸
最終氷期には、海面が現在より約一〇〇メートル下がったことにより、スンダランドやベーリンジアのような陸地が世界の大陸や島の縁辺に現れました。
日本でも、瀬戸内海の島々や四国や九州も本州と陸続きになり、沿岸の大陸棚の海底まで陸上が広がっていました。
そして、最終氷期が終了し、今から一万三〇〇〇年前ごろから海面が急激に上昇して、それらの陸地は海に沈み、六〇〇〇年前には海面は今よりも数メートル高い位置にあり、その後に海面が下がって現在の海面の位置になりました。
現在では、世界中の海底地形が明らかになり、最終氷期以降の海面変動もほぼわかっています。そして、考古学者や地質学者によって最終氷期以降の地形や環境変化、石器時代からのヒトの文明の発達の歴史も明らかにされています。
それらのことから残念ですが、太平洋にあったというムー陸や、大西洋にあったとされるアトランティス大陸のような広大な大陸が、最終氷期後にそれぞれの大洋に沈んだことは、考えられません。
ただし、スンダランドやベーリンジアなど世界各地のすべての大陸棚や島棚にかつて陸地が広がっていて、それらが最終氷期以降にすべて沈んでしまったことは確かです。