愛するようになったと言いたかったけれど、その言葉はもっと大事な時のため、彼女との未来のためにとっておくことにした。

嬉しい。とか、本当? なら証明して見せてよ。なんて反応は、ハミングアローからはおおよそ期待できないと分かってはいたけれど、本当にちっとも嬉しそうじゃないのを目の当たりにすると、彼は辛くなった。

更に悪いことに、彼女は下を向いてしまった。頼むから何か言ってくれ。どんなことでもいいから。

毛布の中では、星は息もできずに消えてしまうのだろうか。

「でも。パパはきっと、あなたとのこと許してくれないと思う」

ほとんど気を失いそうになるほど長い沈黙の後で、彼女はやっと口を開いた。こんな答えなのに、彼女の声が聞けて幸せだった。

それに彼を嫌がっているのは彼女のパパで、彼女ではないのだと思うと、ドゥモはハミングアローの足許で転げ回って喜びのダンスを踊りたくなった。

とても気分がいいときにドゥモが仲間内で披露するのは、亀ダンスだ。のっそりとした動きや、危険が迫ったときの意外と早い逃げ足。

そんな亀の動きを精巧に真似たダンスは好評だったが、彼は不屈の精神力でもって、彼女の足許に身を投げ出して亀ダンスを披露したい衝動を抑え、ほんの少し彼女ににじり寄り、誓った。

「もっと立派な男になるよ。君のパパが認めざるを得ないくらいに」

聞き耳を立てて静まり返っていたティーピーの中から、いきなり大きな咳払いが聞こえてきて、彼らの初めてのデートは終わりを告げた。

ハミングアローが去り際、「いいよ」と吐息のような小さな声で囁いた。あまりにも小さな信号だったので、彼は一瞬幻聴かと疑ったけれど、それは紛れもなく彼女の少し分厚い唇から出たものだった。