ここで、乗り換えて北へ向かうことになる。アメリカの深南部の人種偏見の話は以前からずいぶんと聞いていたし、映画「イージーライダー」の主人公がヒッピーの出で立ちをしてバイクで走行中に、単に気に入らないという理由で地元の人に狙撃されて殺されるのが深南部だったことなどを思い出し、東洋人である自分を意識してちょっと武者震い。

バスは有名な大河ミシシッピー川に沿って北上。さすがに、大きい川である。反対側がはるか遠い。湿度が高く、蒸し暑い感じは日本の夏に似ていてバスのエアコンが嬉しい。道路の周囲は色取りどりの花が咲き乱れ、期待とちょっとした不安のうちに、いよいよナッチェツに到着。

この街は典型的なアメリカ南部の街である。映画「風と共に去りぬ」に出てくる綿のプランテーション所有者の豪勢なマンション(本来の「豪邸」の意味)があちこちに点在し、現在は観光スポットになって公開されている。

プランテーションオーナーのマンション

街路の両側には木蓮の大きな白い花が咲き、道路を上から覆う大きな木からはモスと呼ばれる寄生植物が垂れ下がり、濃い緑のネットをあちこちに被せた様である。聞けば、この地方に特有の植物らしい。

一種独特の風情がとても良い風景を醸し出している。映画の様な、長いドレスにつばの広い帽子を被った女性が急に出てきても不自然ではない感じさえする。

 

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