【前回の記事を読む】人生初海外、そこでぶつかったのは言語の壁。「何を言っているのは分からない!」英語には自信があると思っていたのに【旅行記】
初めての海外旅行 1971年のアメリカ
【ミシシッピー州】
長距離のバスともなれば当然お金持ちは利用しないので、周りの乗客はちょっと貧しそうな年配者、子供連れの母親、一人旅の若者などが中心だ。日本で見たアメリカのホームドラマに登場する人達や、東京の学校のキャンパスで出会った先生や留学生たちとはちょっと階層が違う様子である。
隣の席は10代の兵隊さんとかで、休暇で帰省中とのこと。同じ様な世代なのだが、日本では周りに兵隊の姿を見たことがなくやや戸惑ったが、当たり前ながら屈託のない普通の若者だった。
バスはアメリカの南端を国境に沿って西から東へと向かう。緑に覆われた豊かなカリフォルニアからアリゾナに入ると、段々緑が減ってきて、赤茶けた岩場が多くなってくる。それにしても、行けども、行けども遥か彼方に地平線を望みながらのバスの旅はいかにも大陸的で日本では経験できないものだ。
昔に西部劇で見た大きなサボテンがあちこちに生えている。青い空を渡っていく雲がこれまた色や動きがダイナミックで、これも日本の雲とは質が違う様だ。
やがて、ニューメキシコ州に入る頃からか、また緑がチラホラと目に入り始め、テキサスでは草原風の景色が眼前に展開した。食事の時間になるとドライブインで食事と休憩なのだが、休憩後にバスに戻る時に乗り込むバスを間違えない様に大いに気を遣った。
トイレはバスの内部に据え付けられている。ドライブインでもトイレは借りられるが、ドアが短めで使用者の足が丸見えなのに慣れない自分には、密閉されてプライバシーが保てるバスのほうが臭いの問題はあるにしても使いやすい。