■カナダ出身の経営学の導師、ミンツバーグさんは、社会を「国民に尊敬される政府セクター」「責任ある企業を基盤とする民間セクター」「強力なコミュニティを舞台に形成する多元セクター」(教育機関、赤十字のようなNGOなど)の3つのセクターによるバランスで統合すべきだと提言。
現在の課題は、多元セクターの存在感が弱く、重要性を理解されていないことにあると指摘する。
(多元セクターには、いわゆるエッセンシャルワーカ―が多いように思う)。
社会のリバランスは、「市場vs国家」や、「資本vs労働」の二項対立によるものでは、争いばかりでトランスフォーメーションを生まない、ということだろう。
■インド出身の経済学者、ラジャンさんも、社会は「国家」「市場」「コミュニティ」に支えられていると言う。しかし、第3の支柱である「コミュニティ」の存在が縮小し、国家と市場の浸食によって、ひとびとが現実のネットワークに参加している実感や意義を見出しにくいのではないか、と「3番目の存在」に議論の焦点を当てる。
*いま、健全な社会均衡を復興するために、「どちらかじゃないもの」に目をつけていくことも心掛けたい。
*AIにはさまざまな課題があるものの、ひょっとすると、「人間vs機械」の分断を融和し、社会に別種のヒントをもたらす「第3の形態」となる可能性もあるのではないか。妄想だけど。
第三章 さようなら、ホモ・エコノミクス
夏至の前になると、5時をまわっても日暮れの気配が近づかない。天井の古いシーリングファンが、〈Patina〉の空気をゆっくりとかきまぜている。
ネイビーと酒卸の健司さんがカウンターに並び、賄いメシを食べていた。忙しいときは配達まで手伝うパワフルな社長が、首に掛けた手拭いで頭の汗をぬぐい、中ジョッキの氷水を飲んで、ひと息つく。
「あんた、こんなうまいもん、毎日食べてるの?」
今日の賄いは、一見ふつうの肉もやし炒めだが、肉は北海道美唄で地元特産のアスパラを食べて育ったホゲット羊、もやしは青森県大鰐の温泉熱で栽培されたもの。それに鷹の爪とクミンが、素材の味を消さない程度に、さっと効かせてある。
「タエさーん、うまかった!」
ネイビーが厨房に向かって声をかけると、店のバックを仕切る女性がニコニコと顔を出す。
次回更新は11月12日(水)、11時の予定です。
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