【前回の記事を読む】私は母の言いなりになる人形——幼い頃から母の考え、価値観を押し付けられ、精神的な虐待を受けていた

プロローグ

人間の意識の90%以上は、自分では認識できない「潜在意識」

ほとんどの人は、無意識のうちに(潜在意識で)判断しているはずです。私たちの生活の大半は、潜在意識による判断の積み重ねでできているのです。

なお、顕在意識や意識的な行動は、未来の予想や計算、推理といった思考や言語などを司る「新しい脳」である大脳新皮質と関係しており、

潜在意識や無意識の行動は、心拍、呼吸、体温調節といった生命維持のための身体活動や、喜怒哀楽、愛情、嫌悪といった情動を司る「古い脳」である脳幹、大脳基底核、脊髄、大脳辺縁系(扁桃体、海馬、帯状回)と、密接に関係しています。

私たちが見ている世界は、潜在意識というフィルターを通した世界そして、人の価値観は潜在意識によって作られます。

 

価値観とは、「~が好き」「~が嫌い」「~は正しい」「~は間違っている」など、判断の基準や行動の動機になるものです。

潜在意識には、過去に見たことや聞いたこと、感じたこと、考えたことなどのうち、顕在意識では思い出せないようなものも蓄積されており、それが私たちの価値観を形成しているのです。

潜在意識や価値観に大きな影響を与えるのが、幼い頃からの「教育」です。親から受けたしつけ、学校や先生から教えられたことや命じられたこと、友だちから聞いたこと、テレビや雑誌、本などに書かれていること……。

それらが、知らず知らずのうちに私たちの潜在意識に入り込み、価値観を左右しているのです。

たとえば、今までやったことのない大きな仕事を任されることになったとき、あなたは「楽しそう」とワクワクするでしょうか。

それとも「失敗したらどうしよう」と不安になるでしょうか?

「楽しそう」と思える人は、幼い頃から、たとえ失敗しても、未知のことにチャレンジをすることを褒められてきたのかもしれません。

「おつかいに行ったら褒められた」「絵を描いたら褒められた」など、顕在意識は覚えていない些細な出来事でも、それらが潜在意識の中に刻まれ、「チャレンジすることはいいことであり楽しいことだ」という価値観が育まれていったのです。

逆に「失敗したらどうしよう」と思う人は、何かにチャレンジして失敗して叱られたことや、恥ずかしい思いをしたことがあり、「チャレンジするのは怖いことだ」という価値観が育まれたのかもしれません。