レッドゾーンで働くスタッフは感染予防のための訓練を受けた専門の人たちで、PPEを装着して感染を防御しながら診療、看護を行い、イエローゾーンと呼ばれる部屋でPPEの着脱を行い、消毒した後グリーンゾーンへと戻ることになっている。

この中で働くスタッフは定期的に感染予防のための研修を受ける熟練した医療従事者である。

COLUMN

余談がある。相模原協同病院は当時新病院への移転が決まっていたが、建設準備の過程で市との協議の中で、新病院の感染症病棟の設置への市の補助の確約は今の時期ではまだ難しいという旨の発言があったというのである。

当時の先々代院長先生は怒り心頭で、相模原市医師会にその対応策について相談に来られた。感染症病棟の建設と維持にかかわる費用は市の補助金によって賄われている。「2類の感染症病床は近くの平塚市にもあるのだから相模原市にはいらないでしょう」というのが市側の言い分だという話であった。

当時相模原市の医師会長であった私も全く院長と同意見であった。「県内に72床しかない感染症病床が、相模原市の都合によって減らされることがあってはならない。70万の人口を有する政令指定都市である相模原市のなすべきことではない」と市には医師会からも厳重な抗議を行った。

当時相模原市保健所長は鈴木仁一氏であった。

鈴木先生は「以前より、相模原協同病院院長から、市に対して感染症病床設置費用の補助について要望を受けていました。市は基本的には全額補助予定の腹積もりでおりましたが、ご存じのように市の予算は単年度単位であり、議会の承認を受けないと決定されないものなのです。また、当時は感染症病床の設置費用がどのくらいになるかの見積もりができていなかったため、市長といえども公に『予算を付ける』とは言えない状況であった」と教えてくれた。

「できない」という言葉が独り歩きした末の誤解であったが、当時は保健所自体もその予算は削減され、保健所機能を縮小せざるを得ないという方向に進んでいたのは事実である。これは相模原市だけのことではなく、日本国中がその方向で進んでいたのである。

 

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