【前回の記事を読む】全世界を震撼させた新型コロナウイルス――これは神奈川県において未知の病原体に挑んだ多くの医療者たちの戦いの記録である
プロローグ
それらの人々が死の恐怖と戦いながら、一人の脱落者も出さず戦い抜いたことは称賛に値すると考える。
我々のコロナとの戦いの記録を残すことによって、多くの人々に真実を知ってもらいたいと考えたのである。
ここでは我々が神奈川において身近に体験したことだけを事実として忠実に記載していこうと思う。医療関係者がいかに真摯に新型コロナウイルスに対峙したかを忠実に記録することが重要であり、後世に遺す教訓はその中に自ずと生まれてくるものであると考えるからである。
本書は学術書ではない。コロナと戦った医療者の姿をそのままに記録する、いわゆる〝戦記〟として記録したいと考えている。コロナに対する医療的な対応という観点は物足りない内容となっているかもしれないがご容赦いただきたい。
新型コロナウイルスはWHOでは〝SARS-COV-2〟と定義されており、〝SARSCOV-2〟による感染症を〝COVID-19〟と呼ぶことと定義している。
日本の感染症法では〝SARS-COV-2〟は新型コロナウイルス、〝COVID-19〟は新型コロナウイルス感染症と定義されているが、一般には省略してコロナ感染症と呼ばれることも多い。コロナ禍、コロナ対策という表現も同様である。新型コロナウイルスが語られる文脈の中で新型コロナウイルスの名称が繰り返し使われる場合、コロナの名前で代用する場合が多い。
本書も新型コロナウイルスについて記載したものであり、他のコロナウイルスに対する言及はしていない。本書でのコロナという表現は新型コロナウイルスを指すものとして読んでいただきたい。
COVID-19の統計は神奈川県の集計したデータを用いた。患者数、流行の期間、感染のピーク等に関しては新聞等で報じられた全国集計の数字とは異なっているのでご留意いただきたい。