【前回の記事を読む】【北朝鮮滞在記】ある部員の非公式歓送会で即席スナックを開業。貸し切り状態で2人のホステス役の北の女性が歌を披露
第二章 一九九八年 秋
十一月六日(金) 晴のち小雨
卵は一つ二十五セント
こちらで生産される卵がゲストハウスで一個二十五セントで売られている。質にもよるが、日本の二倍ぐらいの価格ではないか。北の人たちがとてもこの値段で買っているとは思えないが、農民が徐々に物を自由に売れるようになっているような気がする。
十一月七日(土) 晴
「代表」の肩書き
私の肩書きを「代表」として北側に正式通報したところ、NYの北朝鮮代表部から、代表は米国代表一人であると抗議されたらしい。しかし、現場では特に仕事上の支障はない。もっとも、GB側は私のことを「杉山先生」と呼んでおり、肩書きで呼ばれたことはない。
⚫ぼんくら外交官のつぶやき⚫
韓国人からは肩書に敬称をつけて呼ばれることが多かった(たとえば、「杉山代表ニム」=ニムは日本語の様に当たる)が、ここでは北側の人からそのように呼ばれたことはない。
それはそれで日本の「さん」と呼ばれたようで何となく親近感を感じてしまう。韓国では肩書がその人の価値を測る一つの指標になっているように思える。