【前回の記事を読む】【北朝鮮滞在記】銃を持った警備兵たちが私たちの敷地内に…。抗議すると「ここで争っても何の意味もない」と叱責され…

第二章 一九九八年 秋  

十月二十一日(水) 晴

パイプライン(水路)建設

初期工事契約第四期は十月十六日から明年一月十五日までとなっているが、その第二フェーズでは工事用(及び将来の軽水炉運転用)の水を南ナム大デチョン川から引き込むための水路(パイプライン)を敷設することとなった。

韓電建設本部では、技術的・時間的な理由から建設サイトではなく南ナム大デチョン川側から二・五キロの区間(全長は十六キロ)にまず着工したいとしている。しかし、その計画書によれば、北側と協議して解決しなければならない問題が多く残っている。一番重要な問題が、同区間を建設サイトと同じ性格のものにするための議定書の改訂だ。

現在のところ「その他の工事地域」に含まれていないので、我々が自由に出入りし使用できる状況になっていない。さらに、水路といっても土手は工業用道路として供用するため、幅を現在の五メートルから九メートルに拡張しなければならず、約千平方メートルの農地も収用しなければならない。

そこで早急にGBとの協議の必要が出てきたわけで、さっそくNYに事情を説明し会議開催要請の口上書を発出する運びとなった。

十月三十日(金) 晴

ここはいったい何の施設?

GBが入っている建物はゲストハウスの裏手にあるが、NY本部のS部員を案内した時に隣の工場みたいな施設が気になったので、女性の警備員にずうずうしく何の施設か聞いてみた。

私の何回かの「誘導尋問」に笑顔で答えてくれながら「企業所」だとは教えてくれたが、何を作っているのかまでは聞き出せなかった。(後でこれが「東海原子力発電所1」だということがわかった)。