二〇〇五年 孝一@領事館
女たちの言葉と、男が来る時の言葉を少しは理解できるようになった。
ミカエルはママがいるとコイチの肩に乗るが、一人と一匹だけだとコイチの頭に座る。
ベイベだかガブリエルだかは、自力で立ち上がるようになり、数歩なら歩く。小さな人間二人が変化していく様子に感動が続いた。
このベイベはどこから現れたんだろう? ローザが産んだ、と言った。産んだ、とは? 人間を作ることはできない。このベイベだけじゃない。カルロの背が伸びた。ずっと、背が伸び続けるのか?
ママの姿、形に俺の体は反応しない。が、心から信頼できる。信頼って、何だ?
ローザやスィスタはどこから現れたんだろう? まさか、誰かが作ったわけじゃないだろう? ベイベよりずっと大きいが。どうやってこの形にしたのか? なったのか?
カルロは賢い。コイチは、この島以外の世界をいまだ思い出せないでいたが、カルロが別の場所にいたら名誉を得ただろう、と残念に思った。名誉って何だ?
次回更新は10月29日(水)、20時の予定です。
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