第2節│さまざまな音読方法
音読重視の授業では、まず教師がモデルとなって文章を音読し、生徒たちはそれを繰り返して練習するリピーティング(Repeating)という手法が行われました。リズムやイントネーションに注意しながら、文章を何度も音読することで、自然な発音を習得していきます。
また、音声(当時はテープやCD)を使って、テキストを見ながら音声と同時に音読するオーバーラッピング(Overlapping)やテキストを見ずに、音声のみを影のように追いかけて音読するシャドーイング(Shadowing)を繰り返し、インプットしたものを内在化(Intake)する方法が試みられました。
さらに、ペアワークやグループワークを取り入れ、生徒同士で文章を音読し合う機会が徐々に増えていきました。相手がいる状態でアウトプット(Output)することで、単なる音読ではなく、より相手に伝わる英語を発話するよう意識し始めます。
ただ、生徒が授業で培ってきた英語を駆使し、いわゆる「自分の英語」で具体的な場面・状況・目的を踏まえて相手とやり取りを行うタスクベース(Task-based)のアプローチはこの時、まだ広く普及はしていませんでした。
ここでは、英語の音読方法に焦点を当て、解説していきたいと思います。音読は、現代でもリスニング力や発音の向上に効果的な学習法です。以下に、主な音読の種類(リピーティング、オーバーラッピング、シャドーイング、リード・アンド・ルックアップ、サイトトランスレーション)を紹介します。
リピーティング(Repeating)
リピーティングは、音声を聴いた後にその音声を繰り返す方法です。
方法: 教材の音声や教師が話す音声を聴いた後、同じフレーズや文を繰り返します。
目的:発音やイントネーションの確認と練習です。
効果:聴覚と発声の連動を強化し、正確な発音を身につけるのに役立ちます。
オーバーラッピング(Overlapping)
オーバーラッピングは、テキストの英文を見て、音声を聴きながら同時にその音声通りに発声する方法です。
方法:教材の音声を流し、テキストを見ながら同時に自分の声でそのフレーズや文を発声します。
目的:発音、リズム、イントネーションを自然に身につけることを目指します。
効果:正確な発音や自然な話し方を身につけることができ、聴覚と発声の連動をさらに強化します。英語のリズム感を養うのに有効です。