【前回の記事を読む】あなたの「背中」、衰えていませんか? 立っている時間より座っている時間が増えた現代。だからこそ今、背中を鍛えよう!

第6章

生活を改め、ジムに通うようになったあなたには、どんどん筋肉がついてくる。ここからは、この生活を続けていくためのモチベーションや、あなたの「これから」について考えるためのヒントを話していこう

6-1.人は動物・筋肉は抑止力

あなたがネットをしているなら、世間には暴力事件やらパワハラやらが溢れていることを知っているだろう。海外では戦争だって起こっている。所詮、人の理性には限界がある。世知辛い世の中、身につけるべきは「筋肉」だ。

筋肉があれば、体格が良ければ、喧嘩が強ければ(強そうに見えれば)、相手はビビる。あなたを丁重に扱ってくれる可能性は高まる。少なくとも、無下に扱われることはまずなくなる。無差別殺傷事件だって、実は「弱そうな人間」が狙われている。力士やプロレスラー、格闘家の集団を前にして無差別殺傷を始める犯人はまずいない。

「でも、強そうってだけじゃ、生活の役に立たないじゃん……」

それはその通りだ。

単純な腕力で勝敗がつくのは学生時代までだろう。いや、現代では、ケンカなんて幼稚園までしか許されないかもしれない。年齢を重ねれば重ねるほど、腕力から経済力に、世間の評価は軸足を移していく。

腕力があっても人は殴れない。しかし、学歴や経済力や所属企業などで、人は他者にマウント取り放題だ。また知性で人を殴る(貶める)ことも、まず罰せられることはない。

とは言っても、あからさまな高級車や時計の所有者も、それを降りてしまえば、外してしまえば、効力は発揮されない。金を持っていると自慢しても、最低限のコミュニケーション能力がなければ、寄ってくるのは金をむしり取ろうとする寄生虫ばかりだろう。

こんな世界で、実は、筋肉こそ特別な地位を獲得しているものなのだ。筋肉は常に主張できる。服を脱ごうがあなたから取り外されることはない。どんな場面においても、核武装した国の外交カードに近い抑止力を発揮する。

持って生まれたものに、人生は大きく左右される。これは確かだ。

運動や音楽は生まれつきの才能に左右されると、多くの人がその事実を認めている。また、勉学においても、IQという指標がある。これも生まれつきだ。あなたは既に、嫌と言うほど、持って生まれたものの差を実感してきただろう。

筋トレも、残酷だがこの法則が当てはまる。短距離走と同じくらい、持って生まれた素質で、トップに到達できるか決まる。そして、トップに到達できる素質は、恐らく私にないし、あなたにもないだろう。

だがそんなことを言っていたら、全ての趣味、いや全ての人の存在意義が無くなってしまう。

1位以外の人が全員それを止めたら、1位の価値など無に等しくなる。比較対象が無ければ、1位かどうかは決まらない。オンリーワンの評価は未知数である。

それに、全ての能力に抜きん出たとしても、人は一人では生きていくことはできない。

筋肉を鍛えても、あなたはトップになれない。

大事なのは自己満足できるか、である。