2―3 赤子のアダムとイヴ
その時、天界から柔らかい光が射し込んだ。甘い香りが一面に広がり、なにやら囁く声が聞こえてきた。懐かしい心地よい声、そう光の神の声であった。
「私が創造したこの地球は、私が思い描いた輪廻転生を基準に動いておる。限りある命が使命を持って生まれ、使命を全うする。生き死にを繰り返し、意識はつながれ、地球の未来を形成する。魂は向上し御霊(みたま)のふゆを養い天界を豊かなものとする。そんな壮大な物語を、これからこの地球で始めるのだ。
そなたたち兄弟を地球に遣わしたのは、その輪廻転生を忠実に遂行させるためである。
新たなる命を天界のクヌムの森に棲む天使に命じて創らせた。その容姿はそなたたち天使や女神と同じだが、創られたばかりの頃は小さくてとても弱々しい。霊長類最高の者として、これからこの地球で起こるすべてのことを受けとめ、学び、考え、行動する者である。私はこの命を人間と名づけた。
この人間をそなたたちが導き守り、仕えるのだ。この地球の物語を始めるために」
そう言うと光の神は生命の樹を優しく照らした。
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