【前回記事を読む】“鬼の副長”土方歳三、実は俳句好き? 怖れられた男の意外な一面
歳三の穴籠り
動かねば闇にへだつや花と水 豊玉
銃撃戦で最期を迎えた際、辞世の句を部下が見つけている。
たたかれて音の響きし薺(なずな)かな 豊玉
私の住む多摩地域は歳三の他、近藤勇、井上源三郎など多くの隊士を輩出、新撰組に縁の深い土地柄である。
毎年開かれる日野市の新撰組まつりには、毎年全国から数百人の熱心な新撰組ファンが集まり、お馴染みの浅葱色だんだら模様の羽織姿で日野市役所前の通りを行進する。実は我が家も数年前愛犬に犬用の新撰組ユニホームを着せこの行事に参加したこともあるのだ。
今回、日野市観光協会が「土方歳三の宝さがし」というイベントを企画した。新撰組歴史館、歳三他、近藤勇、沖田総司など新撰組隊士が剣の腕を磨いた道場のある日野本陣道場跡、土方歳三の墓所のある石田寺、高幡不動尊など土方歳三に所縁のある数カ所を巡り、そこに隠されたヒントを頼りに謎を解き解答を探すという趣向であった。
一日歩き回って手にした答えは「左山巴紋」土方家の紋であった。三巴は神社や神域にもよく使われ災いをとり除く、バランス・オブ・パワーの意味を持つという。新撰組や土方歳三についての歴史の評価は様々だが、激動の時代に信念も故郷愛も詩心も持ち続けた土方歳三の生き方も、一つのバランスを持ったものだったと言えるかも知れない。