白川と深田は、最後の5mをとことん競い合って入賞を果たし、西尾は、エントリー数が少ないバタフライで完泳した者は全員入賞ということでタイム度外視のマイペースな泳ぎで入賞を果たした。

ところで、あのメドレーリレーだが、今回は事なきを得たものの、プールサイドで応援していた1年生が戻ってきたので聞いたら、「今回は奥の手は無し?」と他校から笑いながら言われたらしい。

大会終了後、これにて2年生は実質引退ということで、大学生に加えて社会人の先輩たちも何人も来てくれて、最寄り駅近くのお寿司屋さんで、恒例の2階座敷貸し切りの打ち上げが始まった。

冒頭のご挨拶で、重鎮のOBから「練習を色々と工夫した成果が本番で出たな」とお褒めいただき、「今のこのままの水泳部でいいの?」と皆で申し合わせたことが各自の好記録につながったことを喜び、自分たちの相手をシーズンを通じてしてくれたチーフコーチに感謝した。

そのコーチから注いでもらったビールは、3人ともあれだけ苦い苦いと思っていたのに、この夏休みの挑戦を讃えてくれるかのように五臓六腑に染み渡り、少しだけだが美味しいかもと感じた。

しかしすぐに、美味しさとは全く無関係に現役中心選手として杯を受け続けた結果、それぞれ帰宅すると、親から「飲み過ぎ!」と言われたが、その声が届くこともなく、それぞれの玄関に入ったらバタンキューと寝入ったらしい。本人たちも覚えていないが……。

 

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