【前回の記事を読む】クラスから"チクリ魔"と言われ仲間外れに? いじめの事実を先生に伝えた生徒は第2、第3のいじめ被害者になってしまう

第二章   国民を(あざむ)く違法ないじめ対策
―学校いじめ防止基本方針の欺瞞(ぎまん)

消えた「いじめ解決」

学校のいじめ防止基本方針には、「いじめの解決」はどこにも見あたりません。代わって使われているのが「いじめの解消」で、一部では「いじめの終息」としている学校もあります。

2021年、北海道旭川市の中学2年生の女子生徒のいじめ凍死事件が起きた中学校のいじめ防止基本方針も「いじめの解消」です。

いじめが解消している状態とは、少なくとも次の2つの要件が満たされている必要があります。

ただし、必要に応じ、いじめを受けた生徒といじめを行った生徒との関係修復状況など他の事情も勘案して判断するものとします。

アいじめに係る行為が止んでいること

いじめを受けた生徒に対する心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)が止んでいる状態が相当の期間継続していること。

この相当の期間とは,少なくとも3か月を目安とする。

イいじめを受けた生徒が心身の苦痛を感じていないこと

いじめに係る行為が止んでいるかどうかを判断する時点において、いじめを受けた生徒がいじめの行為により心身の苦痛を感じていないと認められること。

いじめを受けた生徒本人及びその保護者に対し、心身の苦痛を感じていないかどうかを面談等により確認する。